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【講座の様子】実験・発見!プラットホームと拡張性(2021年4月11日 講師:藤田 邦統)

2021年4月27日

4月11日、藤田邦統先生による実験・発見!プラットホームと拡張性を開講いたしました。


実験・発見!プラットホームと拡張性

当スクールでは、絵画の基礎から個々の作品制作に至るまで、幅広いカリキュラム内容を展開しています。

日曜に開講しております1日完結の単発講座は、ビギナーの方に人気の絵画の基礎講座のほか、経験者向けの講座も多く開講しております。
特に抽象表現を学べる講座が人気です。

今回の講座を担当されました講師は藤田邦統先生です。

藤田邦統先生

プロフィール
1964年 福島県生まれ
現在: 新制作協会会員
個展(NICHE GALLERY、ギャラリーオカベ他)、アートフェア、国内外の展覧会多数。

◇プラットフォーム(土台)を作ってみる

今回の講座説明文はこのようなものでした。

「現代の絵画にはある意味で必要な概念である“プラットホーム(土台)”と、その上に乗せられる“図”の関係に着目する実験的な講座です。強固なプラットホームは独自の形と空間をつくり、それだけで自立するものです。4号のキャンバスに厚紙を切って接着し、抽象のプラットホームをつくります。その上に乗せる静物モチーフの図はプラットホームに干渉せざるを得ません。そのことが、図の形や空間に予想外の拡張性をもたらせるのです。ぜひ新しい画面の立ち上げ方を体験してみてください。」

…少々難解な雰囲気を漂わせる文章ですが、
期待を胸に、多くの受講生がお申込みになりました。


モチーフ

本講座は、抽象化や作品再構築のプロセスを学べる講座内容となっており、
先生によると「経験者のみなさんに新しい概念を提案したい」と、この講座を考案されました。
始めに、先生からレクチャーがありました。


レクチャーのための資料

講座の流れをざっくり説明すると、

  • 4号のキャンバスに、各自好きなように厚紙を切って接着し、思い思いの抽象イメージを施す(これが「プラットフォーム」となる)。
  • その上に絵具でモチーフを描いていく


プラットフォームを作り


絵の具で描き込む

◇プラットフォームによって予定調和の手順をあえて妨げる

本講座における、最大のポイントは、ただモチーフを描きうつすのではなく
厚紙などの色や凹凸が強力なテクスチャに呼応しながら描いていくこと。

藤田先生曰く、
「プラットフォームは下地ではない。

講座の様子

多くの生徒は下地を作らなくてはいけないという先入観がある。それにより作品が展開していかない。
だからあえて、強固なプラットフォームを作ってもらい、予定調和を崩そうとした。」

これは、現実(=物質)と絵画との関係性にあらたな意味を引き出そうとする試みにも思えました。


講座の様子

障害があるほど難しく、しかし難しいからこそ新しくおもしろい。ここではそれを「拡張」というのか、とても興味深く感じたところです。


講評の様子

最後の講評会では、4号サイズの小さな作品が集まったにもかかわらず個々が主張しあうような大きな存在感に満たされていました。


講評会の様子


講評会の様子


作品


作品


作品


作品