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【講座の様子】おとなの月1油彩入門講座「構図と画面構成の仕方 〜風景編〜」8/2開講 大見伸先生

2020年8月22日

6月から8月、月1回の講座大見伸先生による「おとなの月1油彩入門」を開催しました。

前回のレポート「油絵具の正しい使い方 〜絵具とオイルについて〜6/14開講」はこちらをご覧ください

油彩画を始めるにあたり、必要な基礎となる知識、道具の使い方・選び方から油彩の描き方、絵具やオイルの話など、解説だけでなく実技を通して油彩の基礎を学べる全4回の講座です。

今回は、8/2開講の「構図と画面構成の仕方 〜風景編〜」をレポートします。

※常に教室内の換気を行い、備品等の消毒をしたうえで、講座を開催しました。

構図とは何か

授業は、大見先生によるレクチャーから始まりました。

「構図とは自分の思いを伝える方法です」。

先生はご自身の作品を例に挙げ、解説されました。

「写真をそのまま描くのは転写にすぎません。重要なのは作者が何を感じたかということで、つまりそれが制作のテーマとなります」
「例えば左側の絵は薄暮のヴェネツィア風景ですが、実際はもっと暗く、自分の印象に近づけるためにかなり明るく描いています。構図も同じように、制作のテーマをどう表現するかという視点で考えるべきです


「空気感や時間の感覚など、作者が見た世界は写真とは明らかに異なっています。この作者が見た世界を表すための操作が構図を作るということです。それはウソをつくということではなく、逆に自分に正直に表現するということです

さらに先生の作品を例に、構図のアイディアをいろいろな方向から吟味しました。

1.水平線の位置を変化させてみる。
2.俯瞰をイメージしてみる。
3.縦構図と横構図を変えてみる。
4.必要なもの、余分なものを分けて考える。
などなど、いろいろな切り口からのアイディアが紹介されます。


聞き入る受講生のみなさん。


その後、実際にスケッチブック上で構図を吟味する方法のお話があり、いよいよ実作業の開始です。


エスキースのうちの一枚。


キャンバスへの下描き。

「今日は15:20から講評会を行います。」

あっという間の4時間が終わり、講評時間です。


生徒さん作品。



本日のテーマ「構図と画面構成の仕方」に沿って1点1点丁寧な講評が行われました。

構図にはある程度パターンがあります。しかし、それを定式化した決まりきったものと捉えて構図を決めてしまう作業は、制作において重要な作者の感じたことを、ないがしろにしているのかも知れません。「構図を自由に考える」という発想そのために重要な部分を増幅したり余分なものを削除したりと検討をするということが大事である、ということが実感できる授業内容だったのではと思います。

次回の「構図と画面構成の仕方(人物編8/30開講)」にも活かされる内容です。

みなさん、お楽しみに!

2020年後期単発講座でも、「おとなの月1」を開講します!
ぜひご受講ください。
おとなの月1 油彩入門 (全4日間)【先着順】
日程:10月11日 11月15日 12月20日 1月17日
講師:大見 伸
定員:15名
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