上野の森美術館

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2021年後期単発講座カリキュラムの表紙作品ができるまで

2021年9月19日

2021年後期単発講座の表紙はカラスの剥製の木炭デッサンでした。
今回はアートスクールスタッフのKが描いています。

デッサン方法について質問をいくつかいただきましたので、完成までの途中経過を実際に解説してみます。

2021年後期単発講座の表紙

使用画材:MBM木炭紙、木炭、ティッシュペーパー、練り消しゴム、擦筆(さっぴつ)、芯抜き
※木炭デッサンの際に揃える画材例についてはこちらをクリック

木炭デッサン使用画材例

出だしから1時間経過したころです。ざっくりとカラスの全体を捉えています。

面で捉えるというのはこんなイメージ

木炭の扱い方は…?

まずは、木炭の先をやすりやカッターなどで大胆に斜めに削っておくと良いです。(芯抜きもしてね)
木炭の端を持ち、画面に対して寝かせてあてます。削りだした斜めの部分を画面に滑らせて幅広に描くことで、「面」を描きます。持ち方はそのままで、木炭を少し起こすと「線」が描けます。

また、ハイライト以外の部分であれば、ティッシュペーパーでこすったりもします。先ほど面で捉えたときの、羽根や首元の光に対して影になる部分をこすっています。

3時間経過。ざっくりだった描写に正確性を出していきます。羽根のカタチ、くちばしのつき方などを確実に決めていきます。少しづつ細部へ移行していってます。

7時間経過。どんどん細部を描きます。


練り消しゴムで木炭を取って羽根を表現した部分

10時間経過。全体の調子を見ながら、描き込みが足りないところを描いたり、描き過ぎのところは抑えたりを繰り返し、完成へ。

例えば、木炭で描いただけだと鮮やかな色合いなので、背中や羽根の付け根などのハイライトの部分に。

ティッシュペーパーでこすると鈍い色になるので、首元や羽根の影などの部分に使いました。

頭の部分は、鮮やかな部分も残しつつ、目の周りは木炭を軽くこすってふわっとさせてから、木炭の先端でハッチングをし、毛が立っているように見せました。

足の部分は、擦筆でこすって陰影のベースを作り、その上から木炭を立てて先端で表情を描きました。

台に写る影は、木炭で描いてこすっているものを練り消しゴムで消してトーンを薄くしています。

ちなみに、上記の手法は「木炭をこうしたらこのように見えるかな?」と試行錯誤しながらのものなので、描き方の正解というものではありません。ご覧になっている方に描き方のヒントになればと思います。

このブログだけでは物足りないかと思いますので、ぜひ当スクールのYouTubeをご覧ください。

木炭の芯抜きと削り方(芯抜き編)

木炭の芯抜きと削り方(削り方編)
木炭の使い方(前編)
木炭の使い方(中編)
木炭の使い方(後編)

※木炭デッサンは触ると木炭が手につきます。完成したら、フィキサチーフ(スプレー式の定着液です)をかけておくとある程度は抑えられます(完璧に定着するものではありません)。かけ方は、デッサンを床に置き、20センチほどスプレーを離してまんべんなく、丁寧にかけてください。