上野の森美術館

有栖川宮・高松宮 ゆかりの名品 2013年5月21日(火) → 7月14日(日)

≪ トップへ戻る | 日誌の一覧へ戻る

釣人

2013年7月3日

象牙彫刻ネタが続きます。
今回は少し大きな象牙彫刻の話題を。
作品は石川光明の釣人(東京国立博物館寄託)です。

太公望の姿が象牙で彫られています。
右手には丸々太った魚を、そして左手には魚籠(ビク)を。
魚籠には魚が沢山入っていて重そうですね。
大漁をよろこぶ家族を思い描いているのか、笑みがこぼれる生き生きとした表情、
細部まで作り込まれたこの作品は眺めていて飽きません。

石川光明は幕末から明治・大正期に活躍した作家で、木彫も牙彫も得意でした。内国勧業博覧会で受賞や、海外の万博に何度も出品するなど、帝室技芸員にも任命された光明の面目躍如といった作品です。

つるんとした象牙の質感がとてもきれいです。
近くによって(ケースの中ですが)良〜く見てくださいね。

画:村山之都