毎日沢山の方にご来場いただいています。
ロビーに設置しているアンケートにも貴重なご意見やご感想をいただき、本当にありがとうございます!!
ご意見にできるだけお応えしようと思っております。
そんななか、会期も10日ほどではありますが、
直筆書の釈文(読みくだし)や、所々に解説をつける作業を行いました。
これでまた、楽しんでいただけると嬉しいです!
分かりにくかったなあ…と思った方、ぜひもう一度来てください!
象牙彫刻ネタが続きます。
今回は少し大きな象牙彫刻の話題を。
作品は石川光明の釣人(東京国立博物館寄託)です。
太公望の姿が象牙で彫られています。
右手には丸々太った魚を、そして左手には魚籠(ビク)を。
魚籠には魚が沢山入っていて重そうですね。
大漁をよろこぶ家族を思い描いているのか、笑みがこぼれる生き生きとした表情、
細部まで作り込まれたこの作品は眺めていて飽きません。
石川光明は幕末から明治・大正期に活躍した作家で、木彫も牙彫も得意でした。内国勧業博覧会で受賞や、海外の万博に何度も出品するなど、帝室技芸員にも任命された光明の面目躍如といった作品です。
つるんとした象牙の質感がとてもきれいです。
近くによって(ケースの中ですが)良〜く見てくださいね。
画:村山之都
本展、いくつかの象牙彫刻を展示しています。
小島彤山の「象墜」、安藤緑山の「蜜柑」、石川光明の「釣人」などなど。
なんと!紹介したい象牙彫刻が「まだまだ、あるじゃないか!」と、
今さらながら気がつきまして、象牙彫刻の作品をシリーズでお伝えしていくことにしました。
さて、早速。
前回の「蜜柑」につづいて、今回は「象墜」(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)をご紹介します。
「象墜(しょうつい)」は中国は唐の時代に書かれた『枕中記』という小説を主題に作られました。
ストーリーを簡単に紹介すると、『主人公の青年が、道士からもらった枕で寝たら出世する夢を見た』というもの。
(簡単すぎるので、あとは展示をご覧くださいね)
栄華栄達の夢を小さな象牙彫刻のなかに表した驚異的な作品は、わずか5センチほどの大きさ。
とにかく小さくて細かくてシビレます。
主人公は端の方に寝転んでいて(展示では、ルーペで覗くと正面に見えます)、枕のあたりから雲がムクムクと
沸き出しているのがわかります。
そしてその上にそびえる楼閣が14棟。その中には880人もの人がいて、さらに、ゾウやウマがいるとのことで。。。
実物は、本当に、今すぐにでも夢が現実になりそうな迫力を感じます。
今回のイラストはタッチが少々軽くなっております。
「お願い!夢で終わらせないで!。。」と言っている感じですみません。
画:村山之都
*「象墜」は後期のみの展示です。