VOCA展2019

最新情報

今回26回目の開催となる「VOCA展2019」では、33人(組)が出品します。この中から5名の選考委員によりVOCA賞1名、VOCA奨励賞2名、VOCA佳作賞2名が選ばれました。
そして大原美術館賞が館の選考により決定しました。

受賞作品

受賞作品

  • VOCA賞 東城 信之介
    「アテネ・長野・東京ノ壁ニアルデアロウ摸写」

    錆・顔料・油彩・アクリル・ステンシル・転写・鋼板
    230×369cm

  • VOCA奨励賞 石場文子
    「2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)」

    インクジェットプリント、額
    107×76.8×3.5cm が4枚

  • VOCA奨励賞 チョン・ユギョン
    「Let’s all go to the celebration square of victory!」

    アクリル、カンヴァス
    223×330×6cm

  • 佳作賞 遠藤 薫
    「ウエス」

    雑巾
    240×390×20cm

  • 佳作賞 目
    「アクリルガス」

    樹脂・アクリル他
    170×170×19cm

  • 大原美術館賞 喜多村みか
    「TOPOS」

    インクジェットプリント
    120×180×5cm が2枚

選考所感

VOCA賞受賞者 東城信之介さんのコメント

2017年アテネを訪問した際、そこで見た壁に故郷(長野)を重ね合わせた。その頃世界各地で壁の写真を撮り歩いていたが、どの国も壁に世相が像として残り強制的にそれと向き合わさせられた。そして特定の物体に疑念を抱く自分と他者が触れたものに執着してしまう自分は、それらを媒介させ作品にする事で不安を払拭し自分事として着地させた。これから訪れる世界的催事の反映がどういう形で現れるかはわからないが、きっと似た ような壁を目にするのだろう。

推薦委員・山内舞子氏のコメント(会場における本作品鑑賞の手引き)

東城がアテネで察したのは同じ「国際的な大会」を開催した故郷・長野と同質の荒廃だった。そして彼が制作において重視してきた二者関係「物質と作家」「過去と現在」には「世界」と「未来」が加わった。本作の視覚的性質は街角の「壁」それ自体が社会の「鏡」であることを暗喩し、そこには表現と主題の強固な結縁 が窺える。

選考所感

選考委員長 島敦彦(金沢21世紀美術館館長)

絵画、写真、映像、布など表現媒体が多岐にわたる傾向は今回も顕著であった。複数の作品やパーツの組み合わせも目立った。日常を改めて見直す追求もあったが、社会的問題への問いかけや文明批評的な作風も散見された。VOCA賞となった東城信之介の《アテネ・長野・東京の壁ニアルデアロウ模写》は、繰り返される国際的な大会に対する風刺的態度を、光り輝く鋼板へのエネルギッシュな殴り書きや転写によってほのめかしている。

光田由里(DIC川村記念美術館 学芸部マネジャー)

各作家が生み出したメッセージのリテラシーに新たな平面の語法があり、それらの独自性に注目した。東城氏の受賞作にはグラフィティ風の筆法と金属の物質性、画像転写や歪像反射が、タイトルが示す意味のレイヤーに重なる。行為の痕跡を物質と手仕事の量として見せた遠藤氏の受賞作のような「画家ではない作家の平面作品」にもひかれる。祖母の不在を輪郭線で示して物と写真像/平面の関係を見せる石場氏のねらいは、近藤恵介氏や鬣恒太郎氏の突き詰める絵画の問題と裏面でつながっている。

柳沢秀行(大原美術館学芸課長)

最初に出品作を一覧した際、画面への映り込みが多いなという印象を持った。
それは、例年に比べて、画布に描かれた絵画が明らかに減り、写真、あるいは紙や画布以外の素材を用いた作品が増えたことが理由である。ただ、それはその選択の根底に、目の前に立つ私、あるいはそこに射す光を鮮明に顕現させようとする意識、つまり作品に「今」と「観客」を取り込む意識が横たわっている気がする。

小勝禮子(美術史・美術批評)

これまでにも増して多様な技法の表現が集まった。写真を使った作品も目立ち、またネット上のイメージを収集し加工するものも散見された。なかでVOCA賞の東城信之介《アテネ・長野・東京ノ壁ニアルデアロウ模写》は、オリンピック開催都市の壁の落書き(の重なり)という体裁を取りながら、過去と現在、そして来たるべき未来を射程に据え、社会を映す「鏡」としての絵画の役割を、多層に見える錯視的画面のなかに批評的に体現して見事であった。

水沢 勉(神奈川県立近代美術館館長)

確実に世代が交代しつつある。全体としてどこに焦点が結ぶかは定かではない。堂々たるペインタリーな絵画らしい絵画は少なくとも前景を占めていない。
今回のVOCA賞の東城信之介作品の鋼板をグラインドさせた線条によって、錯視的な空間の厚みを現出させていた。そこにオリンピックにまつわるイメージ群が渾然と配されている。ピントが合わないのは、批評なのか、ひとつの現状確認なのか。その疑念が現代的である。

作家一覧

作家一覧

作家 推薦者
新井 卓 工藤 香澄 横須賀美術館 学芸主査
石垣 渉 森本 陽香 名古屋市美術館 学芸員
石場 文子 千葉 真智子 豊田市美術館 学芸員
遠藤 薫 長谷川 新 インディペンデント・キュレーター
大平 由香理 川延 安直 福島県立博物館 学芸課長
尾角 典子 住吉 智恵 TRAUMARIS, RealTokyo アートプロデューサー/ディレクター
岡本 高幸 中尾 英恵 小山市立車屋美術館 学芸員
片山 達貴 吉原 美惠子 徳島県立近代美術館 上席学芸員
喜多村 みか 山峰 潤也 水戸芸術館 現代美術センター 学芸員
金城 徹 小林 純子 沖縄県立芸術大学 教授
クスミ エリカ 吉崎 元章 札幌市文化芸術交流センター SCARTS プログラムディレクター
KOURYOU 筒井 宏樹 鳥取大学 准教授
近藤 恵介 神山 亮子 府中市美術館 学芸員
笹山 直規 成相 肇 東京ステーションギャラリー 学芸員
佐野 直 楠本 智郎 つなぎ美術館 主幹・学芸員
白井 晴幸 三本松 倫代 神奈川県立近代美術館 主任学芸員
鈴木 諒一 植松 篤 静岡県立美術館 主任学芸員
関川 航平 田村 麗恵 東京都美術館 学芸員
滝沢 広 大浦 周 埼玉県立近代美術館 学芸員
多田 友充 高橋 しげみ 青森県立美術館 学芸主幹
鬣 恒太郎 遠藤 水城 東山アーティスツ・プレイスメント・サービス 代表
田中 真吾 福元 崇志 国立国際美術館 研究員
田中 武 小金沢 智 太田市美術館・図書館 学芸員
チョン・ユギョン 趙 純恵 福岡アジア美術館 学芸員
手嶋 勇気 松岡 剛 広島市現代美術館 主任学芸員
東城 信之介 山内 舞子 キュレーター
中島 麦 荒井 直美 新潟市美術館 学芸係長
中山 明日香 岡本 梓 伊丹市立美術館 学芸員
西村 有 坂元 暁美 上野の森美術館 学芸課長
堀 至以 野中 祐美子 金沢21世紀美術館 アシスタント・キュレーター
三家 俊彦 吉田 成志 キュレーター
三輪 恭子 正路 佐知子 福岡市美術館 学芸員
畑井 恵 千葉市美術館 学芸員

VOCA展とは

VOCA展とは

VOCA展は、「VOCA展」実行委員会が全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その推薦に基づき、作家が平面作品の新作を出品するという方式で、全国各地から未知の優れた才能を紹介しています。

「VOCA2019」出品規定概要

推薦委員
「VOCA展」実行委員会から選出された全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどに、作家1名の推薦を依頼。
出品作家
推薦委員の推薦に基き、VOCA展実行委員会より依頼した作家、国籍不問。
1978年4月1日以降生まれ(40歳以下)。
作品について
平面作品。
未発表の新作であること。
作品サイズは、250cm×400cm以内の壁面(タテ形、ヨコ形は不問)に展示できるもの。
厚さ20cm以内。
VOCA賞    1名
VOCA奨励賞  2名
VOCA佳作賞  2名
*上記3賞は選考委員が選考。
*VOCA賞は第一生命保険株式会社の収蔵作品となる。
大原美術館賞   1名
*大原美術館賞は館の代表者がVOCA賞以外から選定し、美術館の収蔵作品となる。
選考委員
島敦彦  (金沢21世紀美術館館長)
光田由里 (DIC川村記念美術館学芸部マネジャー)
柳沢秀行 (大原美術館学芸課長)
小勝禮子 (美術史・美術批評)
水沢勉  (神奈川県立近代美術館館長)

開催概要

開催概要

名称
VOCA展2019 現代美術の展望─新しい平面の作家たち
会場
上野の森美術館
会期
3月14日(木)〜3月30日(土)
休館
会期中無休
開館時間
午前10時─午後6時(入館は閉館の30分前まで)
*3月21日(木祝)は13:00開館
入館料
一般600(500)円/大学生500円/高校生以下無料
*(  )は前売および20名以上の団体料金
*障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料(要証明)
*前売券は一般券のみのお取り扱いです。
チケット情報
チケットぴあ、ローソンチケット、e+(イープラス)・スマチケ、CNプレイガイド、楽天チケット、主要コンビニ店頭などで発売。
※手数料がかかる場合があります。
「VOCA展」&「FACE展」
共通<あちこチケット>2枚セット券 1,000円
「VOCA展2019」と「FACE展2019」(2月23日(土)〜3月30日(土)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)の一般観覧券各1枚がセットになったお得なチケットです。
*<あちこチケット>は、3月29日(金)まで販売
相互割引
「VOCA展2019」のチケットの半券で「FACE展2019」の入場料が100円引きとなります。
主催
「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館
特別協賛
第一生命保険株式会社
「VOCA展」実行委員会
委員長
島敦彦  (金沢21世紀美術館館長)
副委員長
畑中秀夫 (第一生命株式会社取締役常務執行役員)
委員
光田由里 (DIC川村記念美術館学芸部マネジャー)
柳沢秀行 (大原美術館学芸課長)
小勝禮子 (美術史・美術批評)
水沢勉  (神奈川県立近代美術館館長)
泉菜々子 (第一生命株式会社DSR推進室課長)
坂元暁美 (上野の森美術館学芸課長)

関連イベント情報

関連イベント情報

シンポジウム「どこで想い、描くか?」

日程 3月13日(水)午後3時 - 5時
パネリスト 島敦彦光田由里柳沢秀行小勝禮子水沢勉内海聖史齋藤芽生
定員 150名(要申込み)

<シンポジウムお申込み・お問合せ>

住所・氏名と、シンポジウム参加希望を明記のうえ、FAXまたはeメールにてお申し込みください。
定員となり次第、締め切らせていただきます。

申込み先 上野の森美術館「VOCA展」係
FAX:03-3833-4193
eメール:voca2019_v@ueno-mori.org

※申込みの際に取得した個人情報は、申込み者への通知および予定変更等の連絡のみに使用いたします。
※メール受付は1月25日より行います。
問合せ先電話番号 03-3833-4191 (上野の森美術館)

受賞作家によるトーク

日程 3月16日(土)午後3時 - 4時 遠藤薫チョン・ユギョン
3月23日(土)午後3時 - 4時30分 石場文子喜多村みか東城信之介

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

学芸員によるギャラリートーク

日程 3月17日(日)、24日(日)午後3時 - 4時

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

うえの!ふしぎ発見:コレクター部

日程3月27日(水)午前10時 - 午後2時30分
会場上野の森美術館 、東京都美術館
対象小学1年生〜高校3年生とその保護者
定員15組30名
主催museum start あいうえお

若手アーティストの登竜門、上野の森美術館「VOCA展」と、東京都美術館の野外彫刻。お気に入りの作品を探しに2つの美術館に出かけよう。
*保護者は、VOCA展観覧料(600円)がかかります。

プログラム紹介ページはこちら

同時開催

内海聖史展ーやわらかな絵画ー
UCHIUMI Satoshi -Fluid Limits-

3月14日 (木) 〜 3月30日 (土)
入場料:無料
会場:上野の森美術館ギャラリー
開館時間:10:00〜18:00
*最終入場閉館30分前まで

イベント:「内海聖史アーティストトーク」
日時:3月18日(月)15時〜


mimic pantins. 2017 油彩、水彩、カンバス 7200×6369×30mm

第一生命ギャラリー VOCA受賞作品展「CONNECT VOCA !」開催

3月1日(金)〜4月19日(金)