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VOCA展2017

VOCA展とは

VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介していきます。

最新情報

開催概要

名称 VOCA展2017 現代美術の展望─新しい平面の作家たち
会場 上野の森美術館
会期 3月11日(土)〜3月30日(木)
休館 会期中無休
開館時間 午前10時─午後6時(入館は閉館の30分前まで)
観覧料 一般600(500)円/大学生500円/高校生以下無料 ※( )は一般前売料金
主催 「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館
特別協賛 第一生命保険株式会社

受賞作品

VOCA賞受賞者 幸田千依さんのコメント

このような賞を頂き、予想を超えてこれまで様々な土地で出会った皆様の喜びの声を聴くことができ、大変驚くとともに心から嬉しく思っています。
かれこれ7年ほど、絵を描くことと様々な土地で暮らすことの両方を一つの歯車のように行ってきましたが、そこには常にズレがあり、そのズレを次へ次へ進みながら新しく調整をしてきました。
その中で徐々に浮かび上がってきたことはやはり、自分のもつこの眼の存在をなしにして、ものを感じたり考えたりすることはできず、自らが今立っている足場の感触とそこから見えているものを起点にその裏側や対極や真下をも見ていこうという、至ってシンプルな強い自覚でした。その自覚により、私の中から緊張した謎の観念(なぜか思い込んでいたこと)のようなものは徐々に消え、あるのは実感される相対関係との調和です。黄昏の光が街に広がって自分の顔に跳ね返ってくる、その熱を受ける眼と皮膚と足場を意識しながら、誰が見てもただ「絵」となって照り返すような作品を今はもっと描きたい。誰もが自分の持つ感覚で確かめることのできる、確かなものとしての絵を描きたいです。
この数年加速度を増してかみ合ってきた制作と暮らし、眼と手、によって今回の作品を描くことができ自分にとってもひとつの節目となりそうです。
これからも、時間をかけてノビノビとやっていきたいです。

推薦委員・辻瑞生氏のコメント(会場における本作品鑑賞のポイント)

それぞれが抱える微妙な違和感や歪みを、自分自身で肯定するかのようにバランスを取りながら暮らしている。幸田の制作は、複数の視点でモチーフを細部まで描き込み、その後隣り合う部分との歪みを修正することを繰り返していく。それはまるで、絶妙なバランスの上で成立している社会の縮図のようでもある。

選考所感

選考委員長 建畠晢(多摩美術大学学長)

今回のVOCA展は写真をも含めた平面による表現の多彩な可能性を改めて認識させてくれるものであった。VOCA賞の幸田千依の作品は一見穏当な風景画だが、近景と遠景の関係や空間の中の光への眼差しに独自の感覚が宿っている。
奨励賞の上田良の作品では自らが制作したオブジェを撮影しインクジェットプリントにするという方法によって、表現的な要素の意味を中立化するというユニークなイメージに注目させられた。

本江邦夫(多摩美術大学教授)

コンセプト、画材、寸法の点でここまで拡散・逸脱したVOCA展はちょっと記憶にありません。混沌とした世相の反映なのでしょうか? それでもどこか焦点をずらしたような幸田千依さん(VOCA賞)の海を見下ろした広大な眺望には「風景」としての新味を、また青木恵美子さん(佳作、大原美術館賞)の、赤を基調とした抽象的な色面と側面にのみ彩色を施した一見透明なアクリル板を対比させた作品には画家としての志の高さと「絵画」に寄せる希望を感じました。

島敦彦(愛知県美術館館長)

絵画、写真、映像はもとより、観客関与型の作品まで、今回も異種格闘技的な様相を呈した。賞候補は、絵画と写真に二分され、決め手を欠く中で、僅差で幸田千依の抽象性を孕む穏やかな風景画がVOCA賞となった。共に自作の立体を写真にした上田良と鈴木基真が奨励賞、抽象絵画を2枚組みで示した青木恵美子と古い写真乾板を焼き付けた村上華子が佳作となった。媒体は多様だが、平面を意識した取り組みが注目された。

光田由里(DIC川村記念美術館学芸課長)

カジュアルな方法で世界の断片をとらえ、それを読み込んでいく。軽い絶望のあとで作り始める、そうした態度が作品を集めた会場から感じられた。制作物を写真に撮って平面にする鈴木基真、上田良作品の、空間のレイヤーには読まれるべき細部が豊富にある。村上華子の写真の写真、青木恵美子のアクリル板には、小野さおりの鏡の絵のフェイクさと共振する、写す事への否があった。幸田千依の奥行きある風景に、アニメーション映画を思わせる生気を感じた。

柳沢秀行(大原美術館学芸課長)

奨励賞となった上田良をはじめ、川角岳大、Nerhol、益永梢子など、しなやかな手つきで絵画の形式を問いつつ造形的な達成においても注目すべき作品が印象に残った。それらに対して高松明日香、武内明子、松田啓祐、屋宜久美子など自らの生や感覚をナイーブに絵画へと発露させた作家達も目についたが、なかでも幸田千依の豊かな光に満ちた作品を描きあげた真摯な姿勢はVOCA賞にふさわしい素晴らしい成果であろう。

作家一覧

関連イベント情報

シンポジウム「VOCA展-過去・現在・未来-」

日時 3月10日(金) 15:00〜17:00
場所 上野の森美術館
モデレーター 建畠晢
パネリスト 本江邦夫、島敦彦、光田由里、柳沢秀行 ※敬称略
定員 150名(申し込み要)

<シンポジウムお申込み・お問合せ>

住所・氏名と、シンポジウム参加希望を明記のうえ、FAXまたはeメールにてお申し込みください。
定員となり次第、締め切らせていただきます。

申込み先 上野の森美術館「VOCA展」係
FAX:03-3833-4193 / eメール:voca2017@ueno-mori.org
※申込みの際に取得した個人情報は、申込み者への通知および予定変更等の連絡のみに使用いたします。
問合せ先電話番号 03-3833-4191 (上野の森美術館)

受賞作家によるアーティスト・トーク

受賞者が自作について語ります。(以下敬称略)

日程 3月11日(土) 15:00〜16:00
上田良(VOCA奨励賞)、村上華子(佳作賞)
3月18日(土) 15:00〜16:00
幸田千依(VOCA賞)、鈴木基真(VOCA奨励賞)、青木恵美子(佳作賞/大原美術館賞)
場所 上野の森美術館

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

学芸員によるトーク

上野の森美術館学芸員が出品作品を紹介します。

日時 3月12日(日)、19日(日) 15:00〜16:00
場所 上野の森美術館

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

同時開催
金氏徹平「記号は記号ではない」

日時 3月11日(土)〜30日(木) 10:00〜18:00
場所 上野の森美術館ギャラリー

上野の森美術館の別館ギャラリーでは、VOCA展の会期に合わせ、同展覧会にゆかりのある作家の小企画展を開催します。今回は「VOCA展2007」出品者である金氏撤平さんの個展です。

<トークセッション>

3月11日(土)16:30〜17:30/金氏徹平+加納俊輔、田中秀和、東畠孝子

「第一生命ギャラリー」展示スケジュール (2017年1月現在)

開館時間 12:00〜17:00 ※土・日・祝日休館
場所 東京都千代田区有楽町1-13-1 第一生命保険株式会社 日比谷本社1F
展覧会名 会期
VOCA受賞作品展 2017年2月20日(月)〜3月31日(金)

http://www.dai-ichi-life.co.jp/dsr/society/contribution/gallery.html

Museum Start あいうえの

募集は締め切りました。

ミュージアムの楽しさや上野公園の魅力を知る、冒険と発見のプログラムに今年も「VOCA展」は協力しています。

「うえの!ふしぎ発見」⑦「VOCA部」
日時 2017年3月28日(火) 10:00〜12:00

http://museum-start.jp/aiueno#p1

「Museum Start あいうえの」主催/東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学