上野の森美術館

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VOCA展とは

VOCA展では全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、全国各地から未知の優れた才能を紹介していきます。今回は、34人の推薦者により34人の作家が出品いたします。

最新情報

開催概要

名称 VOCA展2015 現代美術の展望─新しい平面の作家たち
会場 上野の森美術館
会期 3/14(土)〜3/30(月)
休館 会期中無休
開館時間 午前10時~午後6時 ※入館は閉館の30分前まで
観覧料 一般・大学生500円/高校生以下無料
相互割引 『FACE展2015』※の入場券提示で『VOCA展2015』の入館料100円引き
『VOCA展2015』の入場券提示で『FACE展2015』の入館料100円引き
※FACE展2015:東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(2015年2月21日(土)~3月29日(日)月曜休館)
主催 「VOCA展」実行委員会/公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館
協賛 第一生命保険株式会社
お問合せ 03-3833-4191
VOCA展実行委員会
委員長 高階 秀爾 (大原美術館館長)*
副委員長 酒井 忠康 (世田谷美術館館長)*
武富 正夫 (第一生命保険株式会社執行役員)
委員 建畠 晢  (京都市立芸術大学学長)*
本江 邦夫 (多摩美術大学教授)*
笠原 美智子(東京都写真美術館事業企画課長)*
片岡 真実 (森美術館チーフ・キュレーター)*
佐賀 奈穂 (第一生命保険株式会社DSR推進室次長)
釼持 邦弘 (上野の森美術館事務局次長)
*は兼選考委員

受賞作品

  • VOCA賞
    小野 耕石 「Hundred Layers of Colors」

    油性インク、紙
    245×390×5cm(75×90cmの作品が12点)

  • VOCA奨励賞
    岸 幸太 「BLURRED SELF-PORTRAIT」

    ゼラチンシルバープリント
    169.6×268.8(額込み)

  • VOCA奨励賞
    水野 里奈 「みてもみきれない。」

    ボールペン、油彩、カンバス
    227.3×363.6×3.0cm

  • 佳作賞
    松岡 学 「光の塔」

    銀箔、木炭、岩絵具、他、パネル
    332×243×4.8cm

  • 佳作賞
    松平莉奈 「青」

    墨、胡粉、染料、顔料、膠、麻紙
    196×238×3.8cm

  • 大原美術館賞
    川久保 ジョイ 「千の太陽の光が一時に天空に輝きを放ったならば」

    ピグメントプリント
    300×240×5cm

受賞者による個展

第1回開催よりVOCA展の運営をサポートしている第一生命保険株式会社では、毎回VOCA賞、VOCA奨励賞受賞作品を所蔵し、本社1階にあるロビーでの展示、第一生命南ギャラリー(東京都・有楽町)での定期的公開を行っているほか、全入賞者に対して、同ギャラリーを個展の開催場所として提供しています。

作家一覧

選考所感

高階 秀爾(選考委員長/大原美術館館長)

今回の「VOCA 展 2015」は、これまでにも増して多彩多様な作家像を見せた。VOCA 賞を得た小野耕石の「Hundred Layers of Colors」は、無数の柱状突起を連ねた画面が豊麗な色彩を含んでいることを見る者に実感させる卓抜な構成。奨励賞の 水野里奈は横溢するイメージの豊かさで、岸幸太は深奥な「自画像」表現によって見る者を虜にする。佳作賞2点も今回 の収穫。大原美術館賞の川久保ジョイ作品は、特異な手法で光彩の輝きを鮮烈に捉えた秀作。

酒井 忠康(世田谷美術館館長)

例年と比較して、とくに目立つ作品の傾向は感じられませんでした。あえていえば、高度に技巧を凝らした作品に興味深 いものがあったということでしょうか。当然のことですが、平面(=絵画)の可能性を拓くという、この展覧会の約束に 沿った作品を対象に、選考にあたりました。なかでも注目したのは版画と写真の作品です。版画や写真はいうまでもなく 間接的な表現媒体です。ですから技巧を凝らす工夫の経験が微妙に作品に反映します。ちょっとした観念や思いつきでは 手元に置けない表現媒体なのです。高度に技巧を凝らした作品といったのは、そういう意味のことで、それ自体に芸術的 な価値を見たというのではありません。

建畠 晢(京都市立芸術大学学長)

VOCA 展は、このところ具象が主流を占め、また物語性を宿した作品が多く見られたが、今回はそうした傾向はやや抑制 され、抽象的な表現が復活してきているといえよう。小野耕石の VOCA 賞の作品は、離れて見ればグリッド状に配列した 流動的な色面でありながら、同時にシルクスクリーンの層を無数に刷り重ねるという特異な技法によって半ばレリーフ化 された色彩の芳醇さが引き出されているという興味深い試みがなされている。奨励賞の水野里奈の作品は多様なイメージ を一見乱脈に交錯させながらも、相互に快く響き合うような空間を出現させうる画家としての伸びやかな資質に惹かれた。

本江 邦夫(多摩美術大学教授)

絵画とは何か?もっとも即物的には「支持体と絵具の合体」であることを、色層を重ねるというもっとも単純なやり方で 示した小野耕石さん。実践的には「地と図」の駆使であることに執拗にこだわり、かつてない重厚な画面を生み出した水 野里奈さん。「存在」を映し出す写真の特性を活かした岸幸太さん。黒々とした画材に「時代」を担わせた松岡学さん。 余白を晴朗な時の「移ろい」と見立てた松平莉奈さん。それぞれに見応えがありました。

笠原 美智子(東京都写真美術館事業企画課長)

現代美術の多様性を実感する審査となった。「なんでもあり」はここ20数年の現代美術のキーワードだと思っているが、 VOCA展のように、平面作品と限定していても、一回の審査でこれだけの手法とテーマが出品される。健全だと思う。受 賞は長年作品を作り続けてきたベテランと、まだ20代前半の新顔に二分された。受賞者に加えて、受賞には至らなかった が、福田龍郎氏、本城直季氏、衣川明子氏の作品も強い印象を残した。

片岡 真実(森美術館チーフ・キュレーター)

新しい平面作品の制作に関して、多様な試みが見られたように思う。とりわけ、近年の VOCA 展に見られた私的物語性や 淡い色調が特徴的なものだけでなく、イリュージョンとしての絵画を越えて、素材の物質性、像を視覚化するための光、 歴史的・社会的テーマ等を扱った表現が評価されたことは、本展の今後に可能性を感じさせる出来事だった。同時に、20 年を経た VOCA 展が問い掛けてきた課題について、再確認する必要性を共有出来たことも収穫だったといえる。

関連イベント情報

シンポジウム「VOCAとは?」

日時 3月13日(金) 15:00〜17:00
パネリスト 高階秀爾、酒井忠康、建畠 晢、本江邦夫
ディスカッサント 笠原美智子、片岡真実
定員 150名(申し込み要)

<シンポジウムのお申し込み>

住所、電話番号、氏名、シンポジウム参加希望を明記のうえ、ファックスかメールでお申し込みください。定員となりしだい締め切らせていただきます。

申込み先 上野の森美術館「VOCA展」係
110-0007 東京都台東区上野公園1-2
Tel: 03-3833-4191 Fax: 03-3833-4193
e-mail: voca2015@ueno-mori.org

受賞作家によるアーティスト・トーク

受賞者が自作について語ります。(以下敬称略)

日程 3月14日(土) 15:00〜16:00
小野耕石(VOCA賞)、水野里奈(VOCA奨励賞)、松平莉奈(佳作賞)
3月21日(土) 15:00〜16:00
岸幸太(VOCA 奨励賞)、松岡学(佳作賞)、川久保ジョイ(大原美術館賞)
場所 上野の森美術館

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

学芸員によるトーク

上野の森美術館学芸員が出品作品を紹介します。

日時 3月15日(日)、22日(日) 15:00〜16:00
場所 上野の森美術館

※申込み不要。ただし、展覧会の入場券が必要です。

museum start あいうえの 『あいうえの日和』

親子の鑑賞ワークショップ「親子で楽しむ上野の森美術館 お気に入りの1点をみつけよう!」

日時 2015年3月26日(木)10:00~12:00
場所 上野の森美術館
申し込み方法 ウェブサイトの申し込みフォーラムからお申し込み下さい。
募集は閉め切りました

「museum start あいうえの」主催/東京都、東京都美術館・東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学

同時開催
小池隆英 New Works展

上野の森美術館の別館ギャラリーでは、VOCA展の会期に合わせ、同展覧会にゆかりのある作家の小企画展を開催し ます。今回は「VOCA展’97」でVOCA賞を受賞した小池隆英さんの個展です。

日時 3月14日(土)〜30日(月) 10:00〜18:00
場所 上野の森美術館ギャラリー